2013年1月19日土曜日

宿木:秋の宇治での浮舟との出会い

薫は、久し振りに、宇治のかつての八宮の住まいを訪れる。その地で詠んだ、薫の歌が、この帖の名前に取られている。

(薫)宿り木と思い出でずば木のもとの 旅寝もいかに寂しからまし

(弁の尼)荒れ果つる朽木のもとを宿り木と 思い置きける程の悲しさ

薫は、ここに、お堂を建てることを思い立つ。

秋の宇治。紅葉が落ちて地を覆っている。木枯らしが吹き荒れている。そうして宇治の描写は美しい。人間関係に明け暮れる都との描写の対比は、見事だ。

そして、薫は、その宇治で、かねて噂に聞いていた、八の宮の娘で、母が大君や中君とは異なる、浮舟に出会う。

宿木:周りに振り回される薫と匂宮

薫と匂宮は、光源氏とは違い、自分で周りの状況を動かすことが出来ない。

それは、二人の性格のせいもあるが、光源氏は、天皇の子供である、という立場の違いでもある。

今上天皇は、藤壷との間に生まれた女二宮を、薫に嫁がせようと画策する。これは、かつて、朱雀院が、女三宮を光源氏に嫁がせたのと同じパターンだ。

一方で、夕霧は、娘の六君を、薫に嫁がせようと思っていたが、今上天皇の動きを見て、六君を匂宮に嫁がせる。

薫と匂宮は、周りの人々の思惑によって、その人生を過ごしていかなければならない。

宿木:薫と中君の煮え切れない関係

この宿木の帖では、大君を失った薫が、その妹で、匂宮に嫁いだ中君への思いを断ち切れない、二人の煮え切れない関係が、延々と描かれる。

中君は、匂宮によって都に連れてこられたものの、匂宮には、夕霧の娘、六の君が嫁いでくることで、微妙な立場に追いやられる。

薫は、かつて中君を匂宮に紹介したことを公開しながらも、ますます亡くなった大君に似てくる中君から、思いを離すことが出来ない。