光源氏と、明石入道とは、共通する点がいくつかある。
明石入道は、かつては都で活躍する貴族だったが、ある事件がきっかけで、都を追われ、明石に引きこもることになった。光源氏も、やはり失脚して、都を追われている。
明石入道の娘、明石の上を娶った光源氏は、その二人の子、明石女御を東宮に嫁がせ、明石女御は、後に天皇となる男子を生む。
光源氏は、次期天皇の祖父になるが、明石入道も、その曾祖父ということになる。
2012年8月21日火曜日
若菜(上):40歳になった光源氏
光源氏は、この帖で40歳になった。
本人は、派手な祝いを控えようとするが、周りは放っておかず、六条院で盛大なお誕生日界が開かれる。
現在では、40歳といえばまだまだ若いイメージだが、当時は、すでに”年寄り”ということだったのだろうか、長寿を祝う、最勝王経、金剛般若経、寿命経などのお経が読まれたりする。
本人の光源氏は、気持ちではまだ若い、と思っている。かつての恋人、朧月夜と、昔をなつかしむ歌などを詠んだりしている。
(光源氏)沈みしも忘れぬ物を懲りずまに身も投げつべき宿の藤波
(朧月夜)身を投げんふちもまことの淵ならでかけじや更にこりずまの浪
本人は、派手な祝いを控えようとするが、周りは放っておかず、六条院で盛大なお誕生日界が開かれる。
現在では、40歳といえばまだまだ若いイメージだが、当時は、すでに”年寄り”ということだったのだろうか、長寿を祝う、最勝王経、金剛般若経、寿命経などのお経が読まれたりする。
本人の光源氏は、気持ちではまだ若い、と思っている。かつての恋人、朧月夜と、昔をなつかしむ歌などを詠んだりしている。
(光源氏)沈みしも忘れぬ物を懲りずまに身も投げつべき宿の藤波
(朧月夜)身を投げんふちもまことの淵ならでかけじや更にこりずまの浪
若菜(上):朱雀帝から女性を奪う光源氏
光源氏は、朱雀帝の娘、女三宮を、後見人としての意味合いを持ちながら、自らの本妻として、自らの屋敷、六条院に迎える。
朱雀院は、それを見届けるように、自らは出家する。
光源氏は、かつて、明石へ追放させられる原因となった、朱雀院の愛人、朧月夜にアプローチする。
それは、まるで、朱雀院が出家するのを、待っていたかのようだ。
光源氏は、朱雀院から、女性を奪うという役回りを、この帖では淡々と演じている。
朱雀院は、それを見届けるように、自らは出家する。
光源氏は、かつて、明石へ追放させられる原因となった、朱雀院の愛人、朧月夜にアプローチする。
それは、まるで、朱雀院が出家するのを、待っていたかのようだ。
光源氏は、朱雀院から、女性を奪うという役回りを、この帖では淡々と演じている。
2012年8月13日月曜日
若菜(上):久し振りに紫の上が主要な登場人物に
このところ、玉鬘、明石の上らが、女性としては主要な登場人物であったが、この帖では、久し振りに、紫の上が、主要な登場人物として復活する。
朱雀院の娘である、女三宮が、光源氏の元に正妻として輿入れすることになり、紫の上の絶対的な存在に、大きな脅威となる。
紫の上は、心の中では動揺しながらも、表面的には、年上の女性として落ち着いた態度を示そうとする。そうした紫の上の心の葛藤が描かれる。
また、光源氏も、幼い女三宮と接することで、改めて紫の上の女性としての素晴らしさを、再確認する。
朱雀院の娘である、女三宮が、光源氏の元に正妻として輿入れすることになり、紫の上の絶対的な存在に、大きな脅威となる。
紫の上は、心の中では動揺しながらも、表面的には、年上の女性として落ち着いた態度を示そうとする。そうした紫の上の心の葛藤が描かれる。
また、光源氏も、幼い女三宮と接することで、改めて紫の上の女性としての素晴らしさを、再確認する。
若菜(上):明石、須磨の主要人物が再登場
この帖では、東宮の后となった、明石の上の娘、明石女御が、天皇の跡継ぎを生む。光源氏は、晴れて、公に次期天皇の父親となり、かつては明石の地方豪族だった明石入道は、次期天皇の祖父となる。
明石入道は、そうなることを、願をかけて願っていたことを、手紙を通じて、自らの妻、娘の明石の上に告げ、自らはわずかの追随者を引き連れ、山に身を隠してしまう。
また、若き頃の光源氏が、明石に流されるきっかけとなった、朧月夜も登場するなど、この帖では、明石、須磨の主要人物が再登場する。
明石入道は、そうなることを、願をかけて願っていたことを、手紙を通じて、自らの妻、娘の明石の上に告げ、自らはわずかの追随者を引き連れ、山に身を隠してしまう。
また、若き頃の光源氏が、明石に流されるきっかけとなった、朧月夜も登場するなど、この帖では、明石、須磨の主要人物が再登場する。
若菜(上):娘の嫁ぎ先を懸命に探す父
若菜につながる、この物語の中盤においては、嫁探しに奔走する父親像が描かれている。
光源氏は、養女である玉鬘、実の娘である明石の上の娘を、それぞれ首尾よく、嫁ぎ先を見つけることができた。
この帖では、朱雀院が、娘の女三宮の嫁ぎ先探しに紛争する。
男ならいくらでもいるが、問題は、天皇の娘として、どの相手が相応しいか、ということ。しかし、あまり選り好みしていると、嫁ぎ時期が遅れ、引き取り手がいなくなってしまう。
この物語の時代は、女性が宮廷社会の中で生きていくことは大変だった。キャリアウーマンのような女性も登場するが、基本的には、女性は自分を保護してくれる男性を見つけることが、何よりも重要だった。
光源氏は、身分の高い女性だけでなく、また容姿が美しい女性だけでなく、様々な女性を、自らの屋敷に住まわせ、保護していた。光源氏は、当時の女性に取っては、まさに理想的な男性像であった。
光源氏は、養女である玉鬘、実の娘である明石の上の娘を、それぞれ首尾よく、嫁ぎ先を見つけることができた。
この帖では、朱雀院が、娘の女三宮の嫁ぎ先探しに紛争する。
男ならいくらでもいるが、問題は、天皇の娘として、どの相手が相応しいか、ということ。しかし、あまり選り好みしていると、嫁ぎ時期が遅れ、引き取り手がいなくなってしまう。
この物語の時代は、女性が宮廷社会の中で生きていくことは大変だった。キャリアウーマンのような女性も登場するが、基本的には、女性は自分を保護してくれる男性を見つけることが、何よりも重要だった。
光源氏は、身分の高い女性だけでなく、また容姿が美しい女性だけでなく、様々な女性を、自らの屋敷に住まわせ、保護していた。光源氏は、当時の女性に取っては、まさに理想的な男性像であった。
2012年8月5日日曜日
藤裏葉:六条院への天皇と上皇が行幸
この帖の最後の場面で、天皇の冷泉帝と、上皇の朱雀帝が、揃って光源氏の屋敷である六条院を訪れる場面がある。
最初、光源氏は、自分の席を天皇と上皇より下位に設置するが、冷泉帝は、その席を自分たちと同じ所に変更させる。
冷泉帝は、自分の父親である光源氏を、父親として、待遇したかったのだ。
その宴席で、古くからの友人でありライバルだった、内大臣は、光源氏の様子を見て、羨ましさも込めて、次の歌を詠む。
(内大臣)紫の雲にまがえる菊の花 にごりなき世の星かとぞみる
この歌は、藤原道長の有名な和歌を思い起こさせる。
最初、光源氏は、自分の席を天皇と上皇より下位に設置するが、冷泉帝は、その席を自分たちと同じ所に変更させる。
冷泉帝は、自分の父親である光源氏を、父親として、待遇したかったのだ。
その宴席で、古くからの友人でありライバルだった、内大臣は、光源氏の様子を見て、羨ましさも込めて、次の歌を詠む。
(内大臣)紫の雲にまがえる菊の花 にごりなき世の星かとぞみる
この歌は、藤原道長の有名な和歌を思い起こさせる。
藤裏葉:夕霧と雲居雁の結婚
幼い頃から、お互いずっと想う中だった夕霧と雲居雁が、ついに結婚を迎える。
雲居雁の父親、内大臣は、ずっとこの結婚に反対だったが、年齢を重ねたせいもあってか、ついに、二人の結婚を許す。
(内大臣)紫にかごとはかけむ藤の花 まつより過ぎてうれたけれども
(夕霧)いくかへり露けき春をすぐしきて 花のひもとくをりにあふらん
内大臣の歌からは、やや不満な気持ちも伺える。
夕霧は、その一方で、惟光の娘である藤典侍とも、深い仲で、そうした最中で手紙をやりとりしたりしているのだが・・・
雲居雁の父親、内大臣は、ずっとこの結婚に反対だったが、年齢を重ねたせいもあってか、ついに、二人の結婚を許す。
(内大臣)紫にかごとはかけむ藤の花 まつより過ぎてうれたけれども
(夕霧)いくかへり露けき春をすぐしきて 花のひもとくをりにあふらん
内大臣の歌からは、やや不満な気持ちも伺える。
夕霧は、その一方で、惟光の娘である藤典侍とも、深い仲で、そうした最中で手紙をやりとりしたりしているのだが・・・
藤裏葉:この世の理想の姿
この物語の主人公である光源氏は、この帖で、当時の人々が思い浮かべるであろう、もっとも理想的な幸福を手に入れる。
自らは、天皇の実の父親であることもあり、太上天皇(上皇)になり、実の娘を天皇の元に嫁がせ、息子は幼い頃からの初恋の女性とついに夫婦となり、御所に匹敵するほどの豪邸を手に入れた。
しかし、よくよく考えて見ると、光源氏の生涯にはいいことばかりではなかった。本当に好きだった藤壷は、若くして死んでしまい、正妻の紫の君とは、残念ながら子に恵まれなかった。
そうした、幸福と不幸が、織物のように折り合わされて表現されていることが、この物語を、奥の深いものしている。
自らは、天皇の実の父親であることもあり、太上天皇(上皇)になり、実の娘を天皇の元に嫁がせ、息子は幼い頃からの初恋の女性とついに夫婦となり、御所に匹敵するほどの豪邸を手に入れた。
しかし、よくよく考えて見ると、光源氏の生涯にはいいことばかりではなかった。本当に好きだった藤壷は、若くして死んでしまい、正妻の紫の君とは、残念ながら子に恵まれなかった。
そうした、幸福と不幸が、織物のように折り合わされて表現されていることが、この物語を、奥の深いものしている。
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