2012年8月5日日曜日

藤裏葉:この世の理想の姿

この物語の主人公である光源氏は、この帖で、当時の人々が思い浮かべるであろう、もっとも理想的な幸福を手に入れる。

自らは、天皇の実の父親であることもあり、太上天皇(上皇)になり、実の娘を天皇の元に嫁がせ、息子は幼い頃からの初恋の女性とついに夫婦となり、御所に匹敵するほどの豪邸を手に入れた。

しかし、よくよく考えて見ると、光源氏の生涯にはいいことばかりではなかった。本当に好きだった藤壷は、若くして死んでしまい、正妻の紫の君とは、残念ながら子に恵まれなかった。

そうした、幸福と不幸が、織物のように折り合わされて表現されていることが、この物語を、奥の深いものしている。

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