2012年9月4日火曜日

若菜(下):まるで独立した1つの作品のよう

若菜(下)の帖は実に長い。帖自体も長いが、扱っている期間も、光源氏が41才の時から47才の時まで、およそ7年間を扱っている。これだけの長い期間であるため、その中で起こる出来事も多い。

しかし、この帖の中での最も大きな事件は、紫の上が病いに落ちることと、柏木と光源氏の正妻である女三宮との不倫の2つだろう。

この2つのエピソードは、この帖の後半で現れる。前半は、住吉神社への光源氏一向の豪華な参詣、光源氏の周りの女性たちによる華麗な琴の響宴、という華やかなシーンが描かれる。

そして、後半、そうした華やかさが、一気に不幸の底に落とされる、先の2つの事件が発生する。

この2つの事件が、作者の絶妙な筆力で、まるで織物のように、見事に交錯して、1つの帖の中で展開する。この2つの出来事は、この物語全体の後半の話の展開に大きな影響を与えている。

この帖だけで、独立した作品として捉えることができるほど、この帖の完成度は高い。

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