2012年3月24日土曜日

蓬生:最後に笑った末摘花

末摘花の帖で、鼻が大きく、教養にもかける女性として描かれた末摘花が、この帖では、その一途な思いが光源氏に通じて、ついに幸運を手にする。

父を失い、他に後ろ盾もなかった末摘花。光源氏も訪れず、屋敷は荒れる一方。筑紫に引っ越す叔母が、彼女をいっしょに行かないかと誘うが、頑として断り、ひたすら光源氏を待ち続けた。

明石から戻った光源氏が、偶然近くを通りかかり、末摘花を思い出す。光源氏はそのことを詫び、彼女を自分の屋敷に引き取り、その後は、丁重に扱うことになる。

光源氏が再訪した際に、読み交わした歌。

(光源氏)藤波のうち過ぎがたく見えつるはまつこそ宿のしるしなりけり

(末摘花)年を経て待つしるしなき我が宿を花のたよりに過ぎぬばかりか

末摘花は、かつては、その場に応じた歌も返せないほどだったが、その厳しい状況を絶え続けたことによって、いつのまにか、その教養も自然と磨かれていたようだ。

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